十二月五日

女王アイシスに謁見した。

はるか東の国グランバニア。そこが父さんの国だという。父さんはグランバニア 王だった。母さんを捜すため王位を捨て、僕をつれて世界を旅していた。
言葉に言い表せない、なんとも言えない気持ちだ。


勇者の墓は天空のかぶとを祭ったものだった。女王さまにかぶってみろといわれ てかぶってみたものの、見た目よりもずっと重過ぎて使えない。少なくとも僕に は資格が無いようだ。

ここは勇者のお供をした人たちの子孫が作った国だという。勇者の情報はここに 集まってくるようだけれど、今のところは昔の伝説ばかりで、新しい話はあまり 無い。
しばらくここにとどまって、それからグランバニアに向かおう。



ここは不思議な国だ。女王さまの力で、地下庭園やつきることのない泉がたもた れている。女王さまは不思議な魔力を持っていて、人の心も読めるらしい。年齢 よりはるかに若く見え、とても妖艶で美しい方だ。ビアンカも圧倒されたようで、 「浮気しちゃ、だめよ」という声が、かすれ声になっていた。

十二月八日

船との合流もあるため、明日ここを発つ。
アイシスさまが砂漠の暑さをしのげる魔法をかけてくれるという。効果はしばら く続くので、一気にオアシスまで駆け抜けられる。


アイシスさまのご厚意で親衛隊の方と模擬試合を行った。アイシスさまの親衛隊 は、とても強い。かなり苦戦したが、負けはしなかったと思う。あしたもう一試 合を申し込まれたが、丁重に断った。

十二月十日

オアシスよりの方の泉を過ぎたところだ。昼間を行けるようになったのでだいぶ 旅がはかどる。予定より早く着きそうだが、オアシスで待つか海岸で待つかで意 見が分かれている。
十二月十一日

オアシスの老人の小屋で休んでいる。魔法の効力がおちてきた。過信せずに来た ときと同じ行程をたどることにした。
泊めてくれたお礼に話し相手となって欲しいということで、あと二日泊まる。

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