七月二十一日

オジロンに、王子だけはおいていくようにいわれる。しかし息子は伝説の勇者だ。 それはできないというと、今度は本当に怒り出した。王冠は預かる、といいだす。

王冠を渡したら、オジロンは目に一杯涙を溜めて、それを受け取った。すまない。


国民は複雑な思いのようだ。パパス王と共に、マーサ妃の人気もいまだ高い。パ パス王の息子がつれて帰ってきてくれる、と期待する声もあれば、二の舞を不安 がるものもいる。
ただ一つ国民に言えるのは、「僕は妻を取り返した。母も取り返す」と繰り返す ことだけだ。


あした、国を出る。

七月二十二日

よっぽどビアンカたちを残していきたかった。しかし、言っても聞かない。それ に政治的なこともある。
覚悟を決めた。王家総出で消えるか、帰るかだ。


エルヘブンで魔界への道についての手がかりを得る。四人の長老がすべて語って くれた。やはり、ここへ続く洞窟が、同時に魔界へ通じる神殿だった。
天空と地上、地上と魔界、それぞれをつなぐ門の、神に命ぜられた門番としての宿命。 その力ゆえに母さんは魔界へと連れ去られてしまったこと。残された門番としての、あるいは勇者の父親としての、そして勇者の守護者としての僕の運命。
すべて知ってしまったからには、もう悔いはない。仲間は僕に命を預けてくれている。

マスタードラゴンが復活したので、地上は問題はない。三つのリングが揃った今こそ、魔界へ乗り込むときだ。


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