【第39話】

遣い


一通りのロマリア城の案内をゼルクという兵士に受けた後、

俺達は王の間に通された。




王の前だが老人カンダタのことが気になり

部屋に入るとき「見習兵ルーニに入ります」と言う気まで回らなかったが

王は特に気にしなかったようだ。


「待っておったぞ」


王は玉座に座っていたが、先ほど俺を圧倒した視線は感じず、

穏やかな視線だった。


「あのときの盗みに入った子供達が

 随分立派になったものじゃ」


王は三年前、俺達が盗みに入ったことをやはり覚えていた。


「すまぬが、ゼルグ、少し席をはずしてくれ」


「ハッ!」


ゼルクは敬礼して部屋を出ていった。

王の間には、俺とリュックと王の3人だけになった。


「さっきは、言葉をさえぎってすまなかったの。

 お主達が気にしている老人・・・カンダタのことは、公の場で

 いいたくなかったからじゃ」


俺とリュックは王の言っている意味がわからず顔を見合わせた。


「・・・どういうことでしょうか」


リュックが質問をする。


「うむ・・・・・詳しいことは本人にこれから聞くがよい」


そう言うと、王は紙に何かを書き始めた。

そしてそれを封に入れて俺に手渡す。


「これは紹介状じゃ。

 お主達はこれから、シャンパーニの塔に行ってまいれ」


「シャンパーニの塔?」


初めて聞いた名前の塔だ。


「そうじゃ。カサーブの西に位置し、山を抜けるとある。

 そこ塔の入り口に門番がいるじゃろうから、

 ワシからの紹介状を見せればお主が会いたがっているカンダタに会えるじゃろう」


「・・・・・・わかりました」


「それと1つだけ言っておくが、シャンパーニの塔につくまでは

 カンダタの名前を言うではないぞ。

 お主達がシャンパーニの塔に行くということも内密じゃ。

 回りのものにはただ王から遣いを頼まれたと言えばよい」


何がなんだかわからない。

カンダタという名前を出してもダメ、塔にいく話しもダメ、秘密だらけだ。

ただシャンパーニの塔にカンダタがいるということはわかった。

俺達は王に礼をした後、王の間を退出してさっそく身支度をした。



第40話 見張り

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