【第15話】

退却


どうやら、バハラタの北にある洞窟が人さらいのすみかのようだ。

途中でグプタを見失った私は、しかたないので、片っ端から

探索することにした。


宝箱ダミーの人食い箱には、本当に苦労する。反則だよ、あの強さは。

まれにラリホーが効くけれど、すぐ起きて、2発でこっちがやられちゃう。

それ以外の宝をすべてあさっておいた。


地下1階をくまなく調べたが、グプタの姿はどこにも見当たらない。

「こういう時の常套手段って、大体隠し扉よね。

 しかたない。左手の法則に頼るか・・・」

ちなみに、左手の法則とは、難しいダンジョンで迷わないように

左手を壁にずっとつけて歩くことで、最悪の場合でも、元の位置には

戻ってくれるという者である。

[角川文庫「フォーチュン・クエスト」より、抜粋]

(まぁ、これは、迷路のように入り組んでいる時に使う方法なのだが・・・)

暗闇を手探りで、壁沿いに歩くことにした。

すると、あちこちに自分の4倍くらいの扉がある事が分かった。

その奥には、下りの階段が見える。

少し恐かったけれど、降りてみることにした。

地下2階には頑丈そうな金色の鎧を装備した連中が3人いる。

私の勘だと、かなりやり手ではないかと思う。

多分、今のままでは勝てないと判断した私は、

「リレミトォ!!!」

退却することにした。


第16話 転職の神殿ダーマ

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