【第190話】

神より選ばれし勇気ある者



ラダトームの城の王の間に通された私。

私はそこで、裁きをうけるのかと思ったのだが、どうやら違うようだ。

王様は、私のことを見つめている。



私は王様の言ったことをよく考えていた。

 

・・・・・後半部分のことは何かよくわからなかった。

だが、王様が何で見つめているかは

なんとなくわかったような気がした。

 

いにしえの黒曜石

神に選ばれし勇気ある者

一度触れれば

太陽の輝きを取り戻す

 

 

というのは・・・・つまり、それが私ということ?

あの石が、たぶん、黒曜石のことであり、

その輝きを戻したから、きっとそういうことなんだろう。

 

「名は・・・・・・なんと、申す?」

 

王様にそう言われ、我に返る。

 

「チェルトと申します」

 

そのあと、一息ついて

 

「こんなこと・・・・言いましても信じていただけないかもしれませんけれど・・・・

 ・・・・・・・・・・・私は、このアレフガルドの人間ではありません」

 

王座の周りにいる人達にどよめきが走る。

 

「私は、上のアリアハンという国から来ました。

 そして、大魔王ゾーマを倒しに・・・・・

 このアレフガルドに来ました」

 

さらに、どよめきが走る。

 

私はそのあと、今まで起きたことを素直に話した。

バラモスという魔王が、私が住んでいた世界を征服しようとしたこと

その魔王を倒したこと、

しかし、そのバラモスが大魔王ゾーマの配下であったこと、

 

兵士や文官は、ざわめいていたけれど

王様は何も言わず、黙って聞いてくれた。

 

「お主のことを、いきなり、信じろと言われても普通なら誰も信じないじゃろう。

 しかし、ワシはお主のことを信じるぞ。

 お主はこの太陽の石の輝きを取り戻したのだからな」

 

「太陽の石?」

 

「そうじゃ。

 お主が言ったとおり、この世界は大魔王ゾーマに支配されている。

 

 そして、大魔王ゾーマはこのラダトームから

 東南の方向にそびえ立つ城にいる。

 そこは断崖絶壁、たどり着く者はいない。

 

 しかし・・・・・・言い伝えでも話したとおり、

 神に選ばれし勇気ある者が、太陽の石、そして、精霊から授かる命の杖を

 手に入れたとき、そこには虹の橋がかかり、

 魔の島にわたることができるそうなのじゃ。

 

 しかし、太陽の石は、普段はその力を封印されており、

 神に選ばれし者が触らない限り、その姿を見せない。

 

 つまり、太陽の石の本来の姿を取り戻したと言うことは

 お主が神に選ばれし勇気ある者なのだ。

 

 最初、おまえの顔を見たときに、我を疑ったが

 お主の話を聞いて信じられるようになった」

 

「私が、神に選ばれし者というのは、正直言うと、ピンと来ません。

 突然のことなので・・・・・

 

 ただ、私は、大魔王を倒すことができる資格をもつものなんですね。

 私は、さきほどもいいましたが、大魔王ゾーマを倒すために

 この世界に来ました。

 王様・・・・・私はこれから、何をすれば・・・・・・・」

 

「まずは、雨雲の杖を探すのがよいじゃろう」

 

「雨雲の杖というと、さきほどの、精霊から授かる命の杖というものですよね?」

 

「そうじゃ。

 それと、他に伝説の武器防具を探した方がいいじゃろう」

 

「伝説の・・・・・武器と防具・・・・」

 



第191話 伝説の武器と防具

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